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看護師の悩み・転職まとめ

看護師さんの様々な悩み(育児・スキル・人間関係・残業・恋愛)に対して、役に立つ情報をお届けします。

外国人看護師の現状が、あまりにも悲惨!これじゃ帰国するってばよ

外国人の看護師・介護士の受け入れについて

ちょっと前に、朝日デジタルで外国人看護師・介護士が定着しないという記事を見かけました。

経済連携協定(EPA)で外国人の看護師や介護福祉士を受け入れて8年。インドネシア、フィリピン、ベトナムから計4千人近くが来日し、600人余が国家試験に合格した。労働力として期待される一方、合格者の3割以上は帰国などEPAの枠組みから離れた。「定着」はなぜ難しいのか――。

引用元:医療・介護の外国人、難しい定着 受け入れ8年 資格取得600人、3割は離脱:朝日新聞デジタル

近年の日本の看護師・介護福祉士不足は深刻で、現在はインドネシア・フィリピン・ベトナムの3国に限られていますが、海外からの医療・介護人材の受け入れに日本政府は力を入れています

なぜ彼女達は大変な勉強をして資格を取ったにも関わらず、日本の現場に定着せず帰国してしまうのでしょうか

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大きく問題は2つあります。1つめ日本で看護師(介護福祉士)として働くための前提条件「国家試験合格までのプロセス」と、2つめ「日本で看護師(介護福祉士)として働いていくための医療・介護の現場の状況」です。

これは日本の医療・介護・福祉の現場の状況を違う角度から見るという意味でも、重要な気付きを与えてくれる問題です。色々と一緒に見ていきたいと思います。

※当ブログは看護師さんのためのブログなので、部分・部分では介護福祉士の話題も出てきますが、基本的には看護師さんの話題が中心となります。

日本に外国人の看護師っているの?

患者として病院・クリニックに行っても、外国人の看護師さんを見かけることはありません。だから、外国人の看護師がいないかといえばそうではなく、実際、日本政府はEPA(経済連携協定)を締結した国からの外国人看護師の受け入れを行っているのです。

日・インドネシア経済連携協定(平成20年7月1日発効)に基づき平成20年度から、日・フィリピン経済連携協定(平成20年12月11日発効)に 基づき平成21年度から、日・ベトナム経済連携協定に基づく交換公文(平成24年6月17日発効)に基づき平成26年度から、年度ごとに、外国人看護師・ 介護福祉士候補者(以下「外国人候補者」という。)の受入れを実施してきており、累計受入れ人数は3国併せて3,800人を超えました。(平成28年9月1日時点)

これら3国からの受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応として行うものではなく相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施するものです。

引用元:インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて |厚生労働省

一応、厚生労働省はあくまで相手国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)からの要望であって、日本の看護・介護分野への労働力不足を解消する目的で始めたわけではないと強調していますが・・・決してそんなことはないと思います。

力説すると余計怪しく感じるのは、気のせいでしょうか。

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※下品な台詞なため一部伏字にしています

受け入れているのは看護師候補者

重要なポイントは、3国から受け入れているのは看護師ではなく看護師候補者というところです。

か、看護師候補者?

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それ看護師と何が違うの?・・・
と思う方がいるでしょうから、きちんと順番をおってみていきましょう。

外国人が日本で看護師として働くための条件

重要な前提ですが、日本では看護師資格(正看護師資格)は国家資格です。日本で看護師として働くには、日本の看護師国家試験に合格しなければなりません

また、日本の看護師国家試験を受験するにあたって、当然ですが受験資格も設定されています。

1.審査対象者

外国の看護師学校養成所を卒業し外国において看護師免許を得た者

引用元:看護師国家試験受験資格認定について |厚生労働省

□インドネシア:
【看護】看護師資格及び実務経験2年
□フィリピン:
【看護】看護師資格及び実務経験3年
□ベトナム:
【看護】看護師資格、3年制は4年制の看護過程終了及び実務経験2年

引用元:https://jamcf.jp/institution/2016/1604EPA.pdf

経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定に基づき、日本語の語学研修及び看護導入研修を受け、かつ、研修の終了後、病院において看護師の監督の下で国家資格取得を目的として就労している外国人看護師候補者で、厚生労働大臣が1.から3.までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの。

※インドネシア共和国の箇所は、「フィリピン」「ベトナム」も同様
※1~3までに掲げるものと同等は、「日本人の看護学校卒業と同等レベルの看護教育を受けていること」

引用元:看護師国家試験 - Wikipedia

まとめると、インドネシア・フィリピン・ベトナムで看護師資格を取得所定の実務経験年数をクリアしていること、さらに日本語がビジネスレベルで問題なく使えることの2点をクリアしている必要があるというわけです。

日インドネシア経済連携協定、日フィリピン経済連携協定及び日ベトナム交換公文(以下「経済連携協定等」という。)に基づき受け入れた外国人看護師候補者(以下「候補者」という。)は、6か月間の日本語研修及び看護導入研修を受講後、受入施設で就労・研修しながら定められた期間内(3年以内)に看護師の国家資格を取得する必要があります。

引用元:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000114929.pdf

さらには、3年以内に看護師国家試験に合格しなければならない(※)といった期限もあるのです。

※一定の条件を満たす者は、不合格であっても、協定上の枠組を超えて、1年間の滞在延長が可能

外国人看護師が日本で看護師として働くまでの流れのまとめ

看護師候補者は、来日してから3年以内に国家試験に合格しなければ、帰国しなければなりません。まとめたのが下記の図です。

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引用元:間もなく国家試験 問われる外国人看護師受け入れ制度 - YouTube

外国人看護師・介護福祉士候補者の統計データ

看護師・介護福祉士候補者の現状をデータから見ていきましょう。
これらの統計データは下記の厚生労働省のデータを整形したものになります。

フィリピン人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて |厚生労働省

インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて |厚生労働省

ベトナム人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて |厚生労働省

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平成20年から28年までの間、約4,000人の看護師・介護福祉士候補者を受け入れています。
平成26年から介護福祉士候補者の数が急激に伸びているのは、新たに平成26年よりベトナムの看護師・介護福祉士候補者の受け入れが始まったからです。

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看護師・介護福祉士の各候補者数の累計の内訳に関しては、看護師候補者が1,118人(28.7%)介護福祉士が2,777人(71.3%)となっています。

ここでは約1,100人の看護師候補者と、2,800人の介護福祉士候補者がこれまでに日本に来ているここだけ押さえておいてください

看護師候補者の国家試験合格率は?

全体の看護師国家試験合格率

下のグラフは平成21~27年度の受験者数・合格者数・合格率の統計データとなります。

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引用元:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10805000-Iseikyoku-Kangoka/0000079084.pdf

全体では、1年の平均受験者数55,000人、平均合格者数50,000人、合格率は90%となっています。あの辛い実習を乗り越えた人ならば、ほぼ国試に合格するといっていいでしょう。

看護師候補者の看護師国家試験合格率

ただ、この中からインドネシア・フィリピン・ベトナムの看護師候補者だけに対象を絞ると、まったく別の姿が見えてきます

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看護師候補者の国家試験の受験者数合計は平成21~27年度で2,118人合格者数は154人7年間の平均合格率は7.3%です。

また、グラフを見ればわかりますが、平成23年度まで合格率が低く、平成24年度以降に合格率が急上昇しています。ちなみに平成21~23年の平均合格率は2.6%でした。

これでは完全に無理ゲーです。

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それが平成24~27年は9.8%と4倍近い伸びを示しています

看護師候補者の国家試験合格率上昇の理由

看護師候補者の国家試験合格率が自然に上がったというわけではなく、この急上昇にはきちんとした理由があります。

小宮山厚生労働相は23日午前の閣議後記者会見で、外国人看護師の国家試験合格率を高めるため2012年度に実施する次回試験から試験時間を延長したり、問題文すべての漢字にふりがなを付けたりするなどの改善策を導入する考えを明らかにした。 介護福祉士の試験についても今後同様の対応を検討する。 経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシアとフィリピンから来日した看護師候補者は、2008年以降572人いるが、昨年までの合格者は19人にとどまっていた。 政府部内では、英語や母国語での試験を併用することも議論となったが...

引用元:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120323-OYT1T00365.htm
※現在、リンク先のページは存在しない模様

ただ多少合格率が改善されたとはいえ、これでも看護師候補者の40人に1人しか合格しなかった状態が、10人に1人合格するようになったに過ぎず相変わらず難関資格に匹敵する難易度であることは変わりません。

看護師候補者が国家試験に合格しない理由

日本人の看護学生であれば10人に9人は合格する看護師国家試験に、なぜ看護師候補者は1人しか合格しないのでしょうか。彼女達が怠けているから?・・・そんなことはありません。

其の1:日本語が非常に修得に難しい言語である

日本語は外国人にとって習得するのが難しい言語と言われています。

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引用元:間もなく国家試験 問われる外国人看護師受け入れ制度 - YouTube

とりわけ日本語を複雑かつ習得の難易度を上げているのは、下記のような日本語の特徴があるからでしょう。

  1. 話し言葉と書き言葉(が異なる)
  2. 敬語のグラデーション(尊敬語や丁寧語)
  3. 男性語と女性語(男性が女性言葉を話すとオカマ状態)
  4. 感じの読み方が複数ある(音読み・訓読みなど)
  5. 文字の種類が多い(漢字・カタカナ・平仮名)

引用元:欧米人が日本語を難しいと感じる理由とは-日本語歴10年超のドイツ人に聞きました - 元コンサルタントな歴史家―ドイツから見た日本

また、英語を母語とする人間が、外国語を学ぶ際の難易度をまとめたのが下記の表です。

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引用元:世界で一番難しい言語は何語か? - NAVER まとめ

本当に日本語が複雑だということはおわかりいただけたと思います。これはあくまで日常会話で使う読み書きの日本語の領域であって、看護師国家試験では看護の専門用語といったものが頻繁に出てきます。ただでさえ難しい日本語に加えて、看護の専門用語も日本語で理解しなければならないのです。

そして看護師候補者を対象とした平成24年度以降の看護師国家試験では漢字にはひらがなのルビを入れる日本語の専門用語には英語で併記が入るようにする外国人看護師候補者の試験時間を日本人よりも延長するなどの対応をし合格率が向上したので、やはり日本語の複雑さ・難しさが外国人看護師候補者にとって最大の壁となっていることが実証されたのでした。

其の2:日本の受け入れ先の施設で、勉強に集中できないことがある

看護師候補者を受け入れる日本の病院も、人手不足の状況です。外国人看護師候補者は6ヶ月間の日本語研修・看護導入研修を受けた後、日本の受け入れ先の病院で看護助手の仕事をしながら国家試験の勉強をします

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しかし、病院が人手不足であるがゆえ、看護助手として夜勤に従事することも珍しくないそうです。そうなんです。3年というタイムリミットがある中で、重要な勉強時間を看護助手の仕事が圧迫するという現象が起きているのです。

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其の3:日本の受け入れ先施設も試行錯誤している状態

日本の医療施設にとっても、看護師候補者を受け入れることに対して、まだ新しい取り組みという事もあってほとんど経験がありません

多くの病院で新人看護師の教育で問題を抱えているという現状があります。そうなのです。日本語の意思疎通ができる関係であっても、ただでさえ看護師の教育というのは難しいのです。

それが日本語の習得途中である看護師候補者が相手となれば、さらに難しくなります。受け入れる側の看護師さんのストレス面も考慮する必要があるでしょうし、個人ではなく組織として、きちんと受け入れ体制を整備しなければなりません。

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詳細を知りたい方は、下記の動画を見てください。

www.youtube.com

其の4:実は長期戦である

看護師候補者が、日本の看護師国家試験に1発で合格することは(ほぼ)ないと思っていいでしょう。非常に複雑な日本語の習得に、普通は最低2年かかってしまうのです。看護師国家試験の合格者は、最後の3年目(※)で合格を勝ち取るケースが多いのも、言われてみれば納得です。
※最近は訪日前の日本語教育期間を厚くした事もあって、2年目合格も増えている

家族がいない、母国とは言葉・食事・習慣も何もかもが異なる日本という土地で、3年間頑張り続けて初めて勝負の土俵に立てる。それも一発勝負(3年目)で合格しなければ帰国しなければならない。そんな非常にシビアな状況で、外国人看護師候補者は日々頑張っているのです。

外国人看護師候補者の受け入れに成功した病院

新潟県の三条市に三之町病院があります。特に有名なブランド病院というわけではないと思うので、多分、地元の人でなければ知らないと思います。

名称 三之町病院(さんのちょうびょういん)
所在地 〒955-0071 新潟県三条市本町5丁目2番30号
診療科目 内科・神経内科・放射線科・外科・脳神経外科・整形外科・泌尿器科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・歯科・口腔外科
看護体系 一般病棟 10:1 看護
病床数 210床 職員数200名

引用元:社会医療法人 嵐陽会 三之町病院

2010年という転機

その三之町病院の話をする前に、2010年について触れて起きます。2010年は日本における外国人看護師の受け入れの歴史で、記念すべき年となりました。なんと外国人看護師候補者から、初めて日本の看護師国家試験の合格者が誕生したのです。

2010年というのは、国試の合格率向上(2012年度以降の漢字にルビをふるなど)の取り組みが行われる前の時期です。この難関試験をクリアしたのは、全受験者254名のうち3名しかおらず、合格率は僅か1.2%でした。

-国試受験者数国試合格者数国試合格率
平成22年 254 3 1.2%

合格率1.2%がどれだけ難しいかがわかりやすいように、資格の予備校LECが提供する難関資格の合格率と並べてみました。

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引用元:合格率で見る難易度ランキング | 資格の総合スクール - LEC東京リーガルマインド | 資格のことなら合格のLEC

話を戻しますが、2010年度の外国人候補者の国試合格者3名のうちの2名は、なんと新潟県三条市の三之町病院から誕生したのです。

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三之町病院の看護師候補者への取り組み

なぜこの三之町病院から、2人もの国家試験合格者が誕生したのでしょうか。それは三之町病院の徹底したサポート体制に秘密はありました。

■病院が全力サポート
同病院総務課の山田秀樹課長によると、病院では午前中を勤務午後を完全に二人の学習の時間にあて、受験対策に重点を置いたサポートを行ってきた。
毎日、日本人職員四―五人が交代で付き添い、二人に日本語や国家試験の過去問題を解かせ、徹底した「傾向と対策」を指導するなど手厚い支援を行った。毎週一回、町の外国人向けの日本語学習塾に通わせた
山田課長は「サポートもしたが、結果は二人の努力のたまものです。本当に前向きに、まじめに、『新潟は寒い寒い』と言いながらも、いつも笑顔を絶やさず、日本人看護師が刺激を受けるぐらいがんばった」と褒め称えた。

引用元:インドネシア人看護師の2人 国家試験合格@じゃかるた新聞(3/27) : exblog ガドガド

まず、きちんと看護師候補者が、看護師国家試験のための勉強ができる環境を作る。看護助手としての仕事のウエイトが、看護師国家試験の勉強時間を圧迫しないよう配慮するのは重要です。

また、最大の関門である日本語を習得できるよう学習塾に通わせたり日本人スタッフが交代交代で勉強を教えるようにするなど、長期戦で看護師候補者・受け入れる日本人双方が消耗しにくい体制を作ったのが二人もの合格者を出した秘訣だと思います。

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そして三之町病院では、2010年度以降もコンスタントに合格者を輩出しています。2012年の看護師候補者2名の合格の喜びのコメントです。

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写真左 シスカ・アディスティア・スナリャさん(インドネシア)
「とても、とてもうれしいです。これからも、もっともっと頑張ります。」

写真右 スエルト・ネシー・アビエラさん(フィリピン)
「うれしいです。皆さんのおかげです。」
シスカさんは2010年インドネシアから、ネシーさんは2009年フィリピンからEPAとして来日、当病院で看護師候補生として勤務されていました。 2012年3月、看護師国家試験にみごと合格し、4月2日病院長から看護師としての辞令を受け、現在は看護師新入職員として研修中です。
これからのご活躍をお祈りします。
引用元:社会医療法人 嵐陽会 三之町病院

やっぱり日本語の問題が立ちはだかるため、1年で合格するのは難しいというのがよくわかります。

三之町病院は今も看護師候補者を受け入れているか?

三之町病院は、病院全体で看護師候補者をサポートし、国家試験に合格させてきました。ただ、これが単発(一度限り)で終わってしまうのならあまり意味がなく、現在も継続できているのかを見ていきたいと思います。

下は三之町病院の公式サイトの病院の沿革から、外国人看護師に関係する箇所をピックアップしたものです。

平成21年2月 EPA(経済連携協定)に賛同,インドネシア人看護師候補生2名受け入れる
平成21年12月 EPAフィリピン人看護師候補生1名受け入れる
平成22年3月 EPAインドネシア人看護師候補生2名看護師国家試験に合格する
平成22年12月 EPAインドネシア人看護師候補生2名(H22年度)受け入れる
平成24年1月 EPAインドネシア人看護師候補生2名(H23年度)受け入れる
平成24年3月 EPA(フィリピン人1名、インドネシア人1名)看護師候補生2名看護師国家試験に合格する
平成25年3月 EPAインドネシア看護師候補生2名看護師国家資格合格する
平成26年1月 EPAインドネシア人看護師候補生4名(平成25年度)受け入れる

引用元:社会医療法人 嵐陽会 三之町病院

コンスタントに合格の記載があると思いきや
よく見てみると、平成26年1月で終わっている・・・

この後はどうなっているの?
やっぱうまくいかなかったんか・・・

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でも、三之町病院にとって、外国人看護師候補者の受け入れは重要な事だったはず・・・

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でも、既になかったこと(黒歴史)にしている?
やっぱり職員に負担がきつすぎるとか?
・・・
・・

沿革から場所を変えて、トピックスのページに無事ありました

平成27年4月1日 今年の国家試験を突破した外国人看護師1名が新入職員に加わる
平成28年4月1日 今春に国家試験を突破した外国人看護師1名が新入職員に加わる

引用元:社会医療法人 嵐陽会 三之町病院

なんというか、トピックスの新入職員のページにだけ記載されていることからも、三之町病院ではノウハウや体制が確立されて、もはや外国人看護師候補者が国試に合格するのは珍しくないのかもしれませんね。

また、採用ページにも、現在も外国人看護師の方が3人勤務しているとの記載があったので、うまく日本人に溶け込んで働けているのでしょう。

また、外国人看護師3人の方達が勤務していますが、何事にも前向きで努力している姿はすばらしく、お互いを尊重し、共に成長できるようになれば良いと考えています。
引用元:社会医療法人 嵐陽会 三之町病院

合格した看護師候補者は日本に残るのか

合格した看護師候補者が日本に残ってくれるのか、単なる国際交流にとどまらず、日本の看護師不足の解消の手段になりうるのか、非常に気になる問題です。

下記は、一般社団法人 外国人看護師・介護福祉士支援協議会のアンケートです。

問13.EPAに参加したことをどのように活かしたいと思っていますか?

回答回答数構成比
(1) 国家試験に合格して日本で仕事を続けたい 72 81.80%
(2) 国家試験に合格して母国に帰り、母国で仕事をしたい 6 6.80%
(3) 特に何も考えていない 7 8.00%
無回答 3 3.40%
合計 88 100%

引用元:第4回実態調査(看護師候補者 候補者の回答 集計表) − 外国人看護師・介護福祉士支援協議会

なんと80%以上の看護師候補者が、(合格後)日本で仕事を続けたいと言ってくれています。これはなんとも嬉しいことです。

看護師の世界にはお礼奉公という制度がありますが、お礼奉公の期間はだいたい3年です。そして、お礼奉公期間が終了したら、結構な確率で看護師さんは転職してしまいます。でも、看護師候補者が3年以上職場に定着してくれたなら、看護師不足の現状を改善する有効な手立てになるかもしれません

ちなみに三之町病院で初めて国試合格した2名のコメントです。

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2度の挑戦で難関突破
「恩返しに日本で働く」
国家試験合格者発表
インドネシア人看護師の2人

引用元:インドネシア人看護師の2人 国家試験合格@じゃかるた新聞(3/27) : exblog ガドガド

このように日本で看護師として働くチャンスを得られたことを恩義に感じて、報いようと思ってくれているのなら、彼らをサポートした病院の人間も本当に嬉しいと思います。

外国人候補者受け入れの課題

今回は、1つめの看護師候補者が日本で看護師国家試験に合格するまでのプロセスにフォーカスして記事を書きました

大きく問題は2つあります。1つめ日本で看護師(介護福祉士)として働くための前提条件「国家試験合格までのプロセス」と、2つめ「日本で看護師(介護福祉士)として働いていくための医療・介護の現場の状況」です。

元々、母国で看護師だった看護師候補者の前に立ちはだかるのは、世界でも最も複雑かつ難解な体系をもった日本語という言語の壁です。

EPAによる看護師候補者の受け入れ制度も、日本語の習得の難しさが看護師国家試験の合格の前に大きく立ちふさがっていることは十分認識しています。そして、日本語学習へのサポートを手厚くするように動いています。現在では日本語学習の時間が8~9ヶ月から12ヶ月へと増やしたりと手は打っています

-訪日前
日本語研修
訪日後
日本語研修
日本語研修
合計
平成23年度 2~3ヶ月 6ヶ月 8~9ヶ月
現在 6ヶ月 6ヶ月 12ヶ月

それ以外にもまだまだ課題はあります。

とりわけ気になっているのは、受け入れる側の日本の病院の方でも、しっかりと外国人候補者が勉強できる環境をどれだけ整えられるかの部分です。これを個人に頼るのではなく、組織として無理なく持続可能な受け入れ体制を作ったのが、三之町病院ではないかと思っています。

とはいっても、人手不足の病院も多いでしょうし、現実的には難しい話とは思いつつも…でも、外国人看護師が国試に受かる環境(病院側から適切なサポートを受けられる環境)というのは、新人看護師が働きやすい環境にも通じているのではないでしょうか。そして、今は潜在看護師になってしまっている人達にとっても、復職しやすい魅力的な職場になるような気がしています。

EPAによる看護師候補者の受け入れは、まだ到底採算が取れているとはいえない状況です。ただ、医療・介護の分野で今試行錯誤している新たな取り組みは、決して無駄にはならないでしょう。

時間ができたら、外国人看護師の前に立ちはだかる2つめの壁「日本で看護師(介護福祉士)として働いていくための医療・介護の現場の状況」についても記事にしたいと思います。